「英文学の教授は、さらに続けて、『アメリカの英文学の教授仲間も、この文法書は滅多に使わない。文法的な問題が分からないときは、他の文法書を調べ、どうしても分からないときに、最後に使う文法書だ』と言ったのです。」
「それって、『A Comprehensive Grammar of the English Language』は、アメリカの英文学の教授にも難しいから、普通は、使うのを避けているという意味ですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。そのときの英文学の教授の説明で、なぜ、ロングマンが『A Comprehensive Grammar of the English Language』のような難解な文法書を作ったのか分かったのです。」
「英文学の教授は、なぜ、ロングマンが『A Comprehensive Grammar of the English Language』のような難解な文法書を作ったのかについては、言ってはいないのですよね」と町会長。
「おっしゃる通りです。考えれば、アメリカの英文学の教授が使いこなせないような文法書を使いこなせる人は、滅多にいないはずです。川上さんにも使いこなせないのだから、日本人の英文法学者で使いこなせる人はいないのではないかと思いましたね。」
「しかし、渡辺さんは使いこなしていたのでしょう」と町会長。
「僕も使いこなしてはいません。アメリカの英文学の教授と同じように、他の文法書で調べて、どうしても分からないことだけ調べていました。」
「それでは、使いこなせる人はいなかったということですか」と町会長。
「実は、1人だけいました。」
「渡辺さんの英会話スクールの先生にいたのですか」と町会長。
「実は、『A Comprehensive Grammar of the English Language』には、アメリカ英語とイギリス英語の違いについて、詳細な説明が書いてあるのです。それで、アメリカ英文法を作ろうと思って、アメリカ英語とイギリス英語の違いについて書ける人をジャパンタイムズで募集しました。」
「日本国内に、そんな能力がある人がいるのですか」と町会長。
「僕のやっていた英会話スクールは、ウェブで『日本で唯一のまともな英会話スクール』として、紹介されていたみたいで、時給は安かったのですが、先ほど話した英文学の教授とか、ハーバード大学で博士号を取ったので『ディーアール』と呼ばれる人とか、毎年ノーベル賞にノミネートされていたお医者さんとか、日本の大学の助教授になった人とか、極めて優秀な人がいたのです。」
「そういう人は、お金ではなく良心に恥じない仕事をしたかったということですか」と町会長。
「おっしゃる通りです。その時の募集でも、日本の大学で教えている英会話講師数人を含む20人くらいの人が応募してきました。」
「渡辺さんのスクールは、日本にいるアメリカ人やイギリス人の間で知られていたのですね」と町会長。
「そうなんですよ。国内だけでなく、米国に住んでいる人からも問い合わせがあったので、知られていることに気がついたのです。」
「なるほど。」
「もう一つは、先ほど話した英文科の教授が、色々な英会話関係の本を書いていた、日本でトップの同時通訳と会ったことがあるが、『奇妙な英語を話していた』と言ったことも、気がついた原因の一つです。」
2020/11/4
<イノシシ後記23>
9月30日も、父イノシシ2世が再び栗の木の下を荒らしたが、苔庭は荒らされていなかった。もう、父イノシシ2世は苔庭を荒らすことができないということだ。
3匹のうり坊も、来ていないようだ。母イノシシとともに、父イノシシ2世がうり坊時代に冬の間移動していた、もう一つの拠点に移動したのだろう。<続く>
2023/10/18
